Artist's commentary
誰がちっぱいだぁ?調子こいてんじゃねーぞこの野郎、ホモの癖によー
よく「昔が懐かしい」「学生時代に帰りたい」という意見を聞くことがあるが、私は別段そうは思わない。わたしはかつて500人の寮生を抱える辺境の学校に5年間過ごしていた。500人は全員男。その♂臭い寮では、下級生をフルチンにして山道を走らせる、部屋で数人で1人を全裸にして体毛を剃る、などのイベントが常にあったが、さほど騒ぐような思い出でもない。私自身も夜な夜な何かをしていた気がするが、もうはるか昔の出来事で、何も覚えていない。私の今の人格形成には何の貢献もしていないと確信できる。しかし、やはり懐かしいと思えば懐かしい。口内炎だらけになるバランスの偏った寮食。電話を掛けるにも携帯電話などまだ存在しないから、寮備え付けの電話ボックスに並んだ日々。セーラームーンマニアの知人に部屋に連れ込まれバター猫にされた野良猫。初めて飲んだ〇〇〇の苦い味。ラジヲをつければ小室ファミリーの音楽が席巻していて、タイ米の乾燥した食感は忘れられない。あの頃好きな漫画は寄生獣、ヨコハマ買出し紀行、和田ラジヲのここにいます、岸和田博士の科学的愛情、そして小林源文のミリタリーもの。はまったゲームは洋ゲーのDOOM2。もう当時にして人気のピークは過ぎていたが、やたらめったらに遊佐未森やザバダックのCDを聞いたり、ド田舎から大阪や東京にライブに行った覚えがある。流行の映画はアポロ13。しかし私は、近所のビデオ屋を探索して、同世代が誰も見ていないような映画「狼よさらば」「戦争のはらわた」「ワイルドバンチ」「ゾンビ」(<ゾンビはまだディレクターズカット版が存在していなかった)を発掘して、皆で見るのが楽しみだった。アニメは、今でも覚えているが、寮のラウンジのテレビで見ていた「勇者特急マイトガイン」で、どう見てもホモガキの浜田君が、実はホモじゃなかったということが露呈する出来事に驚愕したものだった。研究室では友達の持ち込んだ不思議の海のナディアのレーザーディスクを連日見ていた。島編の展開に腰を抜かしたのも、今は懐かしい思い出である…学生時代は不毛な生活だった。卒論で研究した熱力学など、今は1ミリも覚えていない。だがふと、あの徹夜上等、ヲタク一直線、ゲームとアニメと漫画と人体実験に明け暮れたあの不毛な生活は、それはそれで、ひとつの性春の姿だったと、思うこともあるのだ…09月18日付R-18DR 68 位!アリシャス!