Artist's commentary
【SS付き】春うららかに、満開の笑顔
「トレーナー!今度の休みってなんか用事ある?」
トレーニング終わりに、ハルウララが声を掛けてきた。
「いや、特にないけど、どうしたんだ?」
「あのね、いま桜がすっごいキレイなんだって!トレーナーもいっしょに見に行こうよ!」
そういえばニュースでも、そろそろ花見シーズンの到来だと言っていた。
「そうだな、たまにはのんびりお花見でもしようか」
「やったー!あっ、じゃあニンジンと、あと、さくらもちも持っていくね!いっしょに食べよっ!」
そんなわけで週末、ハルウララと二人で川沿いの桜並木へとやってきた。
まだ七分咲きといったところか、満開には少し早いが、それでも十分見頃と言えるだろう。
その証拠に、他の花見客もかなり来ているようだ。
「わー、人がいっぱいだー!」
「結構混んでるな。トレセン学園の中にも桜はあるから、そっちの方が良かったか…?」
「ううん、今日はトレーナーとお出かけしたかったんだー」
そう言うと、彼女はふと立ち止まった。
「えっとねー。もしかしたら、わたしの気のせいかもなんだけど」
「トレーナー最近ちょっと疲れてるのかなーって思って」
確かに、ここ数日は普段の業務に加えて、新学期に向けた学園行事の準備なども重なり、十分な休息が取れていなかった気がする。
「ああ、最近は少し忙しかったかもしれないな」
「うん!だから今日はお出かけして、トレーナーにリフレッシュして欲しかったんだよ!」
「トレセン学園の中だと、トレーナーがお仕事のことを思い出しちゃって、あんまりリフレッシュできないかもしれないから!」
そういうことか。
どうやらこの花見は、彼女なりの気遣いだったようだ。
「ごめん、心配かけちゃったな。でも嬉しいよ、ありがとう」
「えへへ」
出会った頃は、ただ元気なだけの少女だったが、この一年で精神面も少し大人になったようだ。
「ねえねえ、トレーナー!ここ、桜すっごいキレイだよ!」
満開の笑顔でこちらに手を振るハルウララ。
持ち前の明るさにその名前も相まって、桜がとてもよく似合う。
「ああ、綺麗だな」
未だ七分咲きの桜よりも、彼女の方が今日の主役には相応しいと思ったのだった。

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