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titleholder (umamusume) drawn by s00h11o13

Artist's commentary

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  • その名は

    『2021年8月31日ドゥラメンテ急逝』ウマ娘がリリースされてまだ半年程の夏の終わり、1つの訃報が競馬界を駆け巡った。
    2021年10月24日、菊花賞。亡き父皐月とダービーの二冠馬ドゥラメンテの忘れ物を獲りに行く。本命にした理由はそれくらいのものだった。
    『これは1頭桁が違ったタイトルホルダー!』
    圧勝だった。
    鞍上・横山武史の父、横山典弘のかつての相棒セイウンスカイとの大逃げを彷彿とさせる圧勝劇だった。その走りに一瞬で魅了されてしまった。その後の有馬記念は武史が主戦のエフフォーリアと有馬と挑むということで兄・和生とのコンビで不利な大外枠から5着と善戦、調整過程で頓挫もありながら日経賞は辛勝で迎えた天皇賞・春。逃げて上がり最速の7馬身差圧勝で和生に初G1をプレゼントした。そして挑むのは現役最強決定戦、春のグランプリ宝塚記念。ここも2番人気に甘んじるも好スタートからパンサラッサに強引にハナを奪わせる好騎乗から2番で抜け出しで2分9秒7のレコード勝ちを収めた。第4コーナーを回ってくる時、他の騎手は懸命に手網を動かす中でただの2頭だけ馬なりでスーッと上がってきた。番手追走のタイトルホルダーと中団から唸るような手応えで上がってきたヒシイグアスだ。このヒシイグアスの猛追を凌ぎタイトルホルダーは2馬身差の完勝を収めた。
    これが"最強"というものかと胸が高なった。凱旋門賞の勝利すらもこの時は疑っていなかった。タイトルホルダーなら絶対に勝てると。
    凱旋門賞11着、世界の壁は厚かった。有馬記念9着、重馬場のロンシャンの反動があったのかいつもより行き足も鈍かった。年が明けて5歳初戦日経賞は8馬身差の圧勝。『これが本来の姿だ!』テンの行き足が有馬ほどでは無いが去年の春天、宝塚に比べると悪かったという一抹の不安も過ぎったがただの杞憂だろう。そうして連覇を賭けて迎えた天皇賞・春、スタートから行き足がつかない。いつもは馬なりで先頭に立つのに今日は和生が懸命におっつけている。さらに大外から逃げ宣言のアフリカンゴールドが競り掛けて1000m通過59.7の乱ペース、淀の坂の下りで失速、そのまま競走中止。
    世界が暗転した。
    筋肉痛のような症状による右前足跛行、骨折や屈腱炎のような重症ではなく胸を撫で下ろしたが春はそのまま休養に入ることになり、秋はオールカマー始動で結果次第で年内引退と発表された。
    迎えた秋初戦、オールカマーは2着に敗れたものの自力を示す格好で挑むのはジャパンカップ。現役最強のイクイノックスや三冠牝馬リバティアイランド、前年の2冠牝馬スターズオンアース、ダービー馬ドウデュース、2度対戦経験のある大逃げのパンサラッサら豪華メンバーとの対戦。結果は5着、脚質や衰えを考えると善戦ではあるがそこにかつてのタイトルホルダーの姿は無かった。
    レース後に引退式が執り行われることまでを発表された有馬記念。スターズオンアースの好スタート、対するタイトルホルダーは和生が懸命に追っつけてこれは譲れないという感じでハナを主張。ハナを奪い切ると1000mの通過は60秒4、バックストレッチで後続に大きくリードを取り全盛期を彷彿とさせるような展開。
    『16頭ぎゅっと固まる!いや、15頭だ!1頭は前を走っている!タイトルホルダー、後続にまだまだリードがある!』
    タイトルホルダーと和生が先頭で第4コーナーを回ってくる。去年の一杯一杯の手応えではなく、まだやれる、最後の力を振り絞ってみせる、そう言わんばかりの手応えだった。人生で最も長く感じた310m、坂の上りまで先頭を保ち続けた。最後はドウデュースとスターズオンアースにはかわされるもかつての相棒、武史の乗るジャスティンパレスの猛追を凌ぎ力を出し尽くしての3着だった。和生が引退式で爽やかに言っったように勝ちたかった。それは間違いない。しかし、俺はこのラストランを見れて満足だった。間違いなく「タイトルホルダーの走り」を和生は最後に見せてくれたのだから。
    タイトルホルダーは俺に競馬の楽しさを教えてくれた。最強の響きの高揚感を教えてくれた。絶望も教えてくれた。そして、終わりの美学を教えてくれた。彼はその生き様で競馬の全てを教えてくれた。ありがとうタイトルホルダー、その名を決して忘れることがないように暮れの中山競馬場にて叫んだ。
    あの引退式から約2年半、ウマ娘7thライブ東京公演DAY2、Everlasting BEATSのイントロ、アドマイヤグルーヴからドゥラメンテへと繋がれた光がその先へ、光が緑に輝き出した瞬間、2年半ぶりに人目を憚らずに号泣した。タイトルホルダー登場、それ以上の言葉はいらない。ありがとう、また君に会うことができた。俺の最愛の競走馬、そして、最愛のウマ娘に。

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