その日、男は思案していた。PSアカウントのウォレットの使い道である。
やはりここは以前から狙っていた洋ゲーを購入すべきであろうか……
そう男が判断を下しかけたまさにその時、「誘惑に屈するべからず！」突如窓の方から声！
「エッ！？」男が思わず振り向くと、そこには窓に取りついた真っ赤な仮面の戦士の姿！
そんな！ここはマンションの５Ｆである！一体どうやって！？
戦士は窓を叩き割り部屋に入ると言った。「それは神聖なるウォレット。使い道を誤るでない！」「アンタ一体」
男が問うと戦士は厳かに告げた。「私はチャムチャムコンテンツ推進探偵タムタム！」
何てこった。俺は夢を見ているのか？男の混乱した様子に構わず戦士は言葉を続ける。
「そのウォレットは今日配信開始のチャムチャム初出ゲームである真サムライスピリッツを購入するためのものなのだ」
チャムチャム……そうだ。思い出した。猫耳猫グローブ、それに妹でボクっ娘。
そのハイスペックさに当時の俺はすっかり夢中になって、何ならイラストとかも描いて……俺の青春……。
「それを貴様は！洋ゲーなどにうつつを抜かすつもりか！」「エッ！？」戦士は仮面のまま男に迫る！
「今すぐDLせよ！」「ハイッ！」「買え！買うのだッ！」「ハイッ！」「PS4版なら823円だ！」「ハイッ！」「買えーッ！」「ハイッ！」

……そうして俺は無事真サムをDL完了し、20年ぶりのブランクを挽回するためトレモ三昧って訳だ。
チャムチャムの一挙手一投足を見てるだけで、失くしてたお絵かきパワーとかも復活してきた。
そうさ、今こそ俺は魂を、青春を取り戻したのさ。割られた窓ガラスの修理費は痛かったが。■FIN■